藤岡達磨撮影

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饒河街觀光夜市

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饒河街観光夜市

松山慈祐宮から一直線-かつての運河船着き場に栄える観光夜市

台北市街地の北側を東西に横断する基隆河の南、台湾鉄道松山駅の北に位置する饒河街には、全長600mに300ほどの屋台が連なる、饒河街観光夜市と呼ばれる台北市有数の大型観光夜市があります。営業時間は毎日午後5時から深夜12時。観光夜市として正式に認可されたのは1987年で、華西観光夜市に次いで台北市で2番目の観光夜市として認可されました。観光夜市となって以降、サービスカウンターや公衆トイレ、入り口の楼門、ゴミ箱などが設置され、現地の人のみならず観光客にとっても利用しやすい夜市へと整備されました。今日も賑わう夜市には、蚵仔麺線、薬燉排骨、胡椒餅などの食べ物を始めとして、服飾品や雑貨、占いや産毛取り、スマートボールなど、幅広い業態の店舗がひしめいています。

学びのポイント

屋台の足元の数字

饒河街夜市では、通りに沿って整然と屋台が軒を連ねています。まっすぐ歩くだけで夜市全体を見て回れるため、初めて訪れた人でも歩きやすい夜市です。脇道や隣の通りに屋台が広がらないのはなぜでしょうか。その答えは各屋台の足元にあります。屋台の足元を見ると、それぞれ白線で区切られた区画ごとに番号が割り振ってあります。この番号から管理委員会が夜市の店舗を管理していることがわかります。管理委員会から認可を受けた屋台だけがこの場所に出店することができるのです。厳しい審査を通って認可を受けたお店はとてもレベルが高く、屋台であるにもかかわらず世界的なグルメガイドであるミシュランガイド・ビブグルマンに掲載される名店も複数あります。

藤岡達磨撮影

台北市の交通の歴史を示す慈祐宮

饒河街観光夜市の東端には松山慈祐宮があり、媽祖という道教の女神が主神として祀られています。媽祖は航海や漁業の守護神で、一般には海運や水産業に関わる人々が信仰しています。しかし、なぜ沿岸部ではないこの場所に媽祖が祀られているのでしょう。かつてこの辺りは北を流れる基隆河の深い水深を利用して水運を行い、基隆や宜蘭などから台北中心部へ物資を運搬する中継地として栄えていたからです。後に、夜市のすぐ南にある松山駅に代表される鉄道や、道路などの陸上交通が整備され、基隆河を用いた水運は衰退しましたが、慈祐宮から続く夜市の賑わいは、この辺りの往時の賑わいを、異なる形で現在の私たちに知らせているようです。

藤岡達磨撮影

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】現在の饒河街観光夜市の姿に大きく影響を与えた台北の交通の変化を知るために、台湾における鉄道の歴史について調べてみましょう。
  • 【事前学習】地図を用いて基隆河から基隆や宜蘭への水運の経路を確認してみましょう。また基隆や宜蘭からどんな物が台北に運ばれていたのかを調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】【事後学習】実際に夜市ではどんな物が売られていましたか。珍しかった物、美味しかった物などの写真を撮り、名前をメモしておいて、後で詳しく調べてみましょう。
参考資料
夜市についての専門的に知りたい方は、藤岡達磨「想像の共同体の現実化の場所としての夜市 : 社会的余暇活動による経験の共有に注目して」(『社会学雑誌』第33号、2017年)を読んでみましょう。

(藤岡達磨)

 

ウェブサイト
交通部観光局https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003090&id=415 台北市政府観光伝播局 https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/1700
所在地
台北市松山区饒河街