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台湾青年民主協会

未来を背負う若者たち

「若者は未来を背負う」という言葉を、誰もが聞いたことあるでしょう。しかし、現代社会で議論されている様々な事柄を振り返ると、そこには若者の声が含まれていないことが多いのです。こうした問題意識のもと、社会問題や民主的な発展に関心を持つ若者らが集まり、2018年6月に台湾青年民主協会を創立しました。台湾青年民主協会は、若者の視点から見た、政策や社会問題に対する提言を行うことによって、若者世代の正義を実現した活発な市民社会の構築を目指しています。これまでに、若者が帰省して投票できるための交通手段を提供する資金をクラウドファンディングで集めたり、他の組織と共に香港民主化を求める集会を行ったりしました。また、ワークショップ、キャンプ、公開講座などを通して若者への主権者教育なども行っています。

学びのポイント

帰省投票列車

日本と台湾の若者世代の投票率は、他の年齢層に及ばないことが多く、「若者の投票率が低い」ということを誰もがよく耳にするでしょう。台湾には住民登録という制度がないため投票は戸籍地で行います。台湾における若者の低投票率の環境的な要因として、仕事や勉強のために実家から離れた若者が帰省して投票するための交通費を捻出するのが難しいということがあるのです。こうした問題に対し、台湾青年民主協会は2018年の地方自治体選挙と2020年の台湾総統選挙において、「帰省投票列車」(中国語:青年民主返郷列車)と題したクラウドファンディングを行い、若者が実家に帰って投票するための交通手段を提供しました。クラウドファンディングの結果、2018年の選挙では約90万台湾ドル、2020年の選挙では約280万台湾ドルが集まり、数千人の若者を「帰省投票列車」に乗せることができました。この活動は多くのメディアによって報道され、大きな注目を浴びました。

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18歳選挙権

台湾青年民主協会は台湾の18歳選挙権を主張しています。日本では2016年に18歳選挙権が施行されましたが、2021年9月時点で、台湾での選挙権は20歳からです。日本も台湾も、現在の有権者の割合は高齢者が多く、高齢者向けの政策が優先される傾向があります。こうした傾向は「シルバー民主主義」と言われています。18歳選挙権を導入して若者世代の票数を増やすことによって、若者世代の声をより政策に反映させられるようになるのです。台湾青年民主協会は18歳選挙権を実現させるため、国会議員に対する働きかけや、各地の学校で講演などを行っています。

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さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】:日本と台湾における若い世代の投票率を調べて比較してみましょう。
  • 【事後学習】:台湾の若者の政治、社会、民主主義に対する意識は、日本の若者とどう違うのか調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】:台湾青年民主協会が行っているキャンプ・ワークショップはどのようなプログラムで組まれているのか調べてみましょう。
参考資料
若者の政治参加については、「台湾修学旅行アカデミーby SNET台湾 第10回 高校生の政治参加 許仁碩(北海道大学)をご覧ください。社会運動については、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)所収の陳威志「第28章 社会運動と政治の駆け引き――第四原発反対運動とヒマワリ学生運動」を読んでみましょう。18歳選挙権について、NHKの選挙ウェブ『今さらだけど…なんで「18歳選挙」?』にわかりやすくまとめられています。
近年、台湾の若者の民主的な関心を引き起こした「ヒマワリ運動(ひまわり学生運動)」は、台湾の若者を知るためにとても大切な運動です。こちらは、nippon.comで若林正丈による「揺れ動く台湾市民社会―「ヒマワリ運動」が浮上させた「多数」の意味」に詳しくまとめられています。

(小松俊)

ウェブサイト
公式 https://www.taiwanyad.org/

(中国語)

所在地
台北市中正区重慶南路三段 2 号 301 室

特記事項
事務所訪問:上限20人 対面講演:30-40人まで オンライン講演:人数制限なし オフィスアワー:月〜金 9:30〜18:30 英語ガイド対応