台湾イノセンス・プロジェクト提供

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冤獄平反協會

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台湾イノセンス・プロジェクト

冤罪について理解しよう

「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜(むこ)を罰するなかれ」という法律の格言があります。これはつまり、真犯人を十人逃しても、無実の人を一人でも罰してはならないということです。しかし実際問題として、司法には間違う時があり、冤罪は確実に起こり得るのです。台湾イノセンス・プロジェクトは、こうした冤罪問題に対処するため、アメリカの冤罪救済計画である「Innocence Project」(イノセンス・プロジェクト)の経験を参考にして2011年に成立しました。イノセンスは、無実という意味です。台湾イノセンス・プロジェクトは主に、1.冤罪被害者の救済活動、2.冤罪被害者 のケア活動、3.制度改革および冤罪事件 の研究、4.呼びかけ活動および国際協力等を行っています。

学びのポイント

どうして冤罪が起きるの?

冤罪が起こる原因として、主に以下の三つがあります。1.誤った証言。事件の証人による証言提供は、司法手続きにおいて重要な役割を果たしています。しかし、人間の記憶には曖昧な点があり、外的な要素に影響されやすく、思い込みによって誤ることがあります。2.科学的な証拠問題。指紋、声紋、足跡、髪の毛などの科学的な証拠は、信用性が高い半面、時には間違っていることがあり、冤罪を生む危険性があるのです。3.虚偽自白。犯人だと疑われた人が、取り調べの強い圧力により、自分の記憶に自信を持てなくなるため、または取り調べの圧力から逃れたいため、自分が犯人だと自白をすることがあります。

台湾イノセンス・プロジェクト提供

台湾イノセンス・プロジェクトはどうやって冤罪被害者を救済するの?

台湾イノセンス・プロジェクトは、有罪が確定した刑事事件において、科学的証拠に欠陥がある場合、または検察側の適正手続きに 違反がある場合に救済措置を行います。科学的証拠に欠陥がある場合は、様々な分野の専門家と協力し、証拠の欠陥について調べ、裁判で誤った判断がされる状況について整理します。検察側の適正手続きに違反がある場合は、犯罪現場の調査、証拠の保存、尋問、目撃者の特定手順など、刑事手続きの段階でどのような違反があったのかについて詳しく調べます。台湾イノセンス・プロジェクトでは、冤罪案件の申請について、救済審議チームで受け付けるかどうかを検討したうえで、さらに弁護士チームで審議を行い、必要な場合には台湾イノセンス・プロジェクトが弁護団を組織し、救済措置を行います。そして、冤罪事件の具体的な状況を見極め、弁護団と各領域の専門家、学者、ボランティアと協議し、最適な救済戦略を決定し実行します。
 
 
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】日本にはどんな冤罪事件があるのか調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】台湾イノセンス・プロジェクトは、具体的にどのような冤罪事件に取り組んだのか聞いてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】あなたが調べた冤罪事件では、冤罪が証明された後、どのような補償を受けていましたか。調べてみましょう。
参考資料
台湾ではかつて冤罪にもかかわらず政治犯とされた方が多数いました。例えば、葉石濤は、自らの冤罪経験を、小説『台湾男子簡阿淘』(法政大学出版局、2020年)に書いています。日本にも冤罪をテーマにした作品はたくさんあります。 小説では、櫛木理宇『虎を追う』(光文社、2019年)、高野和明『13階段』(講談社、2001年)などがあります。映画では、周防正行監督の『それでもボクはやってない』(2007年)が大きな話題を呼びました、どれも冤罪について考えさせられる作品です。日本弁護士連合会のホームページでは、冤罪に対応する法改正を求める声明を出しています。こちらを見ると、現段階における日本の司法制度の問題点、改正すべきポイントが詳しくわかります。英語ができる方は、アメリカのイノセンス・ネットワークのホームページを参考にするとより深い知識を得ることができます。

(小松俊)

ウェブサイト
公式 https://twinnocenceproject.org

(中国語・英語)

所在地
台北市辛亥路2段165号7楼

特記事項
見学:20人まで 講演:20人を超えた場合は講演スペースを借りる必要があります 予約の際、ホームページに掲載されているEmailに連絡してください。