齊藤啓介提供
稻米原鄉館與伯朗大道
稲米原郷館
美しい風景として「再発見」されたお米の故郷―稲米原郷館と池上ブラウン大道
台東県池上郷は台湾随一の米どころとして知られており、ここで生産される「池上米」は人気のブランド米です。「稲米原郷館」はかつての米蔵を改装したレストラン兼文化体験施設で、この地に生きる人々の暮らしや歴史などへの認識を、写真や映像などの展示を通じて深められます。また、池上米や地元の食材を使った家庭料理が食べられるほか、池上観光ツアーや藁で肩たたき棒やカカシなどを作る手作り体験が楽しめます。地元の特産品の購入も可能です。「池上ブラウン大道」は、池上の田園地帯を東西に貫く道路で、自転車や電動スクーターなどに乗って、季節ごとに違った表情を見せる雄大な風景の中を散策するのが人気です。
学びのポイント
池上米の美味しさの秘密はなに?
池上は西側の中央山脈と東側の海岸山脈に挟まれた花東縦谷にあり、南東部には卑南渓が流れています。清らかでミネラルを豊富に含んだ水と汚染されていない澄んだ空気、そして昼と夜の気温差が大きい気候が、モチモチとした食感で香り高い、品質の良い米を育てています。日本統治時代には皇室に献上されたこともあるとされています。現在では地元自治体や農協なども農家に対して積極的な指導を行い、品質の向上と維持に努めています。
そもそもなぜ人気のスポットになったの?
池上は台湾の経済発展に伴う産業構造の変化により、台湾の他の農村同様、人口が流出し、社会問題になっていました。ところが、1990年代に缶コーヒーのCM、2000年代に台北出身の俳優、金城武さんが出演した航空会社のCMでロケ地になると、台湾らしい原風景がかえって評判になり、多くの観光客が詰めかけるようになりました。今でも人口減少が続いていますが、美しい風景に魅了され、都市や海外から移住する人も少なくありません。
景観の維持や町おこしのためにどんな工夫がされているの?
池上郷ではブラウン大道周辺の500ヘクタールに及ぶ地域の電柱を撤去し、景観の維持に努めています。また、秋には野外舞台を設営し、黄金色に輝く収穫目前の稲田の中でアーティストらによるコンサートやショーを開催したり、澄んだ空気により星空がよく見える土地柄を生かして、天体観測と音楽が楽しめるコンサートを開いたりして観光客を引きつけており、毎年訪れるリピーターもいます。各イベントの運営には多くの地元の人が携わり、小学校や中学校の児童や生徒がボランティアとして参加することもあり、地域全体で盛り上げています。
齊藤啓介提供
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】【事後学習】台湾の稲作の歴史を調べてみましょう。
- 【事前学習】【事後学習】台湾では米以外にどの地域でどのような農作物が育てられているでしょうか、調べてみましょう。
- 【現地体験学習】実際に池上米を食べて、味の特徴や日本の米との違いを確かめてみましょう。
参考資料
台湾の米作の発展については「改良重ね“おいしさ”増す『台湾米』」を読んでみましょう。台湾と日本の米の比較については、『Taiwan Panorama』 の蘇俐穎「一粒の米から始める ——米食復興運動」で紹介されています。
- ウェブサイト
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公式https://wanan197.okgo.tw
(中国語)
台東観光遊旅網https://tour.taitung.gov.tw/ja/attraction/details/951
- 所在地
- 台東県池上郷万安村1鄰1−12号