齊藤啓介提供 

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悟饕池上飯包文化故事館

池上弁当文化物語館

台湾を代表する駅弁とその歴史を知る

台東県池上郷は台湾随一の米どころとして知られ、池上駅のホームで売られる弁当のおいしさは広く知られています。そんな池上が発祥の悟饕池上飯包は、台湾全土に220店舗を展開する弁当チェーン店で、この「故事館」は同社の旗艦店です。多くの観光客がつめかける人気店で、台東をめぐる観光バスツアーでも立ち寄る定番のお店になっています。店舗前には実際に台湾鉄道台東線を走っていた客車が2両保存されていて、購入したお弁当は車内で食べられます。また、店内には農耕具や池上の歴史に関する簡単な展示があり、古き良き時代の雰囲気を味わいながら池上のことを深く知ることができます。弁当のほかにお米のソフトクリームも販売しているほか、名物の池上米も購入できます。

学びのポイント

なぜ池上で駅弁文化が発達したのか

日本統治時代、花蓮―台東間を鉄道で移動しようとすると、8時間近くも列車に揺られなければならず、乗客は必然的に列車内で腹ごしらえをする必要がありました。1939年ごろから池上駅のホームで売り出されたのが、切ったサツマイモに小麦粉の衣をつけて揚げた天ぷらのような食べ物で、これが池上弁当の前身とされています。ホームで販売していたので、車内の乗客は下車することなく窓越しに弁当が買え、その手軽さも人気でした。その後、池上特産のおいしいお米や川エビなど地元の食材を使った弁当が考案されると、さらに評判となり、線路の改良で鉄道が高速化した現在でも、東部で暮らす人の記憶の一部になっているほか、旅情をかきたてるとして多くの人から愛されています。

美味しさの秘密は何か

同店では清らかな水と空気、肥沃な大地に育まれた花蓮産と台東産のお米を厳選して使用しており、そのご飯は噛めば噛むほど甘みが出ておいしく感じられます。また、「呼吸する弁当箱」とも言われる、木片を使った容器は、紙やプラスチック製の容器と違い、温かい弁当から出る湯気や余分な水分を吸い取るため、ご飯やおかずの食感を保てるばかりか、出来上がりから時間が経っても風味を損なわないとされています。また、台湾の弁当全体に当てはまることですが、台湾では冷たい物を食べる習慣がないため、購入時には必ず温かい状態になっていることも、日本のお弁当とは違ったおいしさを感じられる、台湾ならではのポイントだと言えるでしょう。

台北ナビ提供

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】なぜ台湾に日本と同じような駅弁の文化があるのか調べてみよう。
  • 【現地体験学習】台湾の街中ではどんな弁当が売られているか調べてみよう。
  • 【現地体験学習】実際に弁当を食べて、どんな味がするか、どんなおかずが入っているか確かめて、日本の弁当との違いを探してみよう。
参考資料
台湾の駅弁を紹介した本に、鈴木弘毅著『台湾“駅弁&駅麺”食べつくし紀行』(イカロス出版、2020年)、マンガでは櫻井寛監修、はやせ淳作画『駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編』(双葉社、2013年)があります。外食産業に頼りがちな台湾ですが、家庭で作られる弁当に関しては、台湾大好き編集部『台湾のお弁当: 地元っ子が作るいつもの味、見せてもらいました! 』(誠文堂新光社、2021年)で紹介されています。

(齊藤啓介)

ウェブサイト
公式https://www.wu-tau.com

(中国語)

所在地
台東県池上郷忠孝路259号