霧峰林家宮保第園區 霧峰林家宮保第園区

中華文化圏に現存する戯台(舞台)の中でも屈指の壮麗な姿を今に伝える

霧峰林家大花庁(緒方賢一撮影)

霧峰の林家は1746年に中国の福建漳州から台湾に渡ってきた林石に始まります。三代目の林甲寅の時に霧峰を拠点に定めて商いを始め、同時に土地の開発に努めました。樟脳の販売で財をなした林家は、その後、1837年に林定邦の「下厝」と林奠国の「頂厝」の二つの家系に分かれ、敷地の南側と北側にそれぞれ邸宅を構えます。 広大な敷地に何棟もの建物が並んでいましたが、1999年9月21日に台湾中部で起こった大地震により大部分が倒壊しました。その後、林家が資金を負担して修復を行い、「下厝」の一部である、家屋部分の「宮保第」と舞台「大花庁」が工事を終えて、現在公開されています。ちなみに台湾の蔡依林(ジョリン・ツァイ)が安室奈美恵とコラボした「I'm Not Yours」のPVはここで撮影されました。邸宅から100mほど離れた場所に「萊園」という林家の庭園があり、現在は明台高級中学の敷地内に位置しています。庭園にはこの学校を創立した林氏一族の林献堂を記念する博物館も併設されています。

学びのポイント

中華式建築の特徴とは?

中華式の家は日本のものとはかなりおもむきが異なります。堅牢な門をくぐると、周りを壁に囲まれた四角い広場のような空間に出ます。正面には大きな建物がありますが、それを抜けるとまたしても四角い空間が現れます。右に行っても左に行っても同じような空間が続き、まるで開けた迷路を歩いているように感じることでしょう。皇帝の宮殿から庶民の家まで、中華式の建築はほぼこのような構造をしています。また、霧峰林家は、方々に施されたカラフルな装飾も見所です。

四角い壁に囲まれた建物(緒方賢一撮影)

「大花庁」(中華式舞台)とは?

屋外舞台といえば、野外コンサートやヒーローショーの行われる特設舞台を思い浮かべるかもしれません。中国や台湾ではかつて、個人の邸宅に舞台が設置され、劇団を呼んで芝居の上演が行われました。もっとお金のある家では、屋敷内に劇団を住まわせていたと言われます。霧峰林家には、立派な舞台(天井の装飾や床下にも注目です!)が造られていて、それだけでも十分に見応えがありますが、さらに舞台を取り囲む二階建ての観客席まで設置されています。まるでオペラハウスが個人の家に出現したかのようです。現在、このような立派な邸内劇場は中国大陸でもほとんど見ることができません。

客席から舞台を見てみる(緒方賢一撮影)

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】 台中の林家一族の歴史を調べてみましょう。中国大陸から渡ってきた清朝期、続いて日本統治期、戦後から現代に到るまで、一家はどのような運命をたどって来たのでしょうか?
  2. 【事前学習】【事後学習】舞台ではどのような出し物が催されていたのでしょうか?台湾の伝統演劇、音楽、舞踊などについて調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】「吉祥図案を探せ!」作戦:建物の中にはあちこちに「吉祥図案」が隠れています。「吉祥」とは「幸福や繁栄を願う」という意味です。例えばコウモリ(蝙蝠)は「蝠fu」といいますが、「福fu」と発音が同じなので、縁起のよい生き物とされています。その他、鹿、魚、麒麟、ザクロなど様々な動植物が壁や扉に彫刻されているので、探してみましょう。

参考資料

霧峰林家宅園に関しては、残念ながら日本語で書かれた書籍はありません。中華式建築に関しては田中淡『中国建築の特質』(中央公論美術出版、2018年)の第一部「中国の住まい」にわかりやすく書かれています。吉祥図案に関しては、早坂優子『日本・中国の文様事典』(視覚デザイン研究所、2000年)や上河内美和『かわいい中国の吉祥切り紙』(誠文堂新光社、2013年)などが参考になるでしょう。また、YouTubeに霧峰林家宅園を紹介した4分ほどの映像があります。中国語ですが、イメージをつかむには便利です。

(緒方賢一)

ウェブサイト
公式https://www.wufenglins.com.tw/ 台中市政府観光旅遊局https://www.taichung.travel/ja-jp/Attractions/Intro/1057/
所在地
台中市霧峰区民生路26号
特記事項
要予約(ウェブサイトから日時と人数を入力)、20人以上の場合は電話予約が必要。