西螺延平老街 西螺延平老街

ゆったり時が流れるバロック風のまちなみ

渡邉義孝撮影

雲林県の西螺鎮の延平路(ストリート)の一帯は、バロック風の商店が建ち並び、歴史と賑わいを感じられるまち。それでいて観光地特有の騒がしさはあまりなく、ゆったりとした時間の流れも。米と醤油の産地として栄え、医療や教育の水準も高かった日本統治時代に、財を成した商人たちが、競うようにおしゃれな外観の建物を建てたものです。商売の成功を願って華やかなバロック風のデザインが好んで用いられましたが、中にはモダニズム建築を先取りした「すっきり幾何学的」な建物も。一方、少し歩くと、日本の影響を受ける前から台湾で花開いていた閩南的建築にも出会えます。こうした歴史的な商店街を老街と呼びますが、延平老街は台湾を代表するまちなみ保存エリアといえるでしょう。

学びのポイント

バロック建築って何?

16世紀末のヨーロッパで、宗教改革の波に対抗しようとしたカトリック教会が産み出した建築様式で、感情をゆさぶるような曲線や楕円形、陰影を強調した装飾などが特徴。「歪んだ真珠」を意味する言葉が語源といわれています。その後イタリアからフランス、イギリスに拡大、有名なヴェルサイユ宮殿もバロック建築の代表作です。台湾におけるバロック建築は、日本統治時代に日本人建築家を通して移植されたデザインという面が強いでしょう。台湾ではそれらは自由な発展を見せ、老街などでは野菜や果物、鳥、獣といったモチーフを使ったユニークな美の競演をみることができます。

日本との繋がりを考えてみよう

西螺には、台湾でもっとも長い歴史を誇る西洋薬局といわれる良星堂があります。日本の星製薬商業学校(現・星薬科大学)で学んだ程日良氏が西螺に戻り、「星」と自身の名前の「良」を合わせて屋号とし、開業しました。1924年のことです。その後、甥の程光輝氏が継ぎ、さらに現在はその子・士晋氏が店を守っています。星薬科大学の創設者の星一(はじめ)氏のモットーは「親切第一」。士晋氏は「この言葉は、いまも私の店の大切な精神です」と語っています。ちなみにSF作家の星新一は、一氏の息子です。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】西螺には、かつて雲林県虎尾との間、約16kmに「西螺線」と呼ばれる鉄道が走っていました。当時の鉄道の構造物は、何が残っているでしょうか。また、鉄道では旅客のほかに、何が運ばれていたのでしょうか?
  2. 【事前学習】【事後学習】西螺以外の台湾の代表的な老街について、それらがいつごろ、どのような産業との繋がりで栄えたまちなみであるかを調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】西螺延平老街文化館は、かつては何に使われていた建物だったのでしょう。

参考資料

西螺という街の歴史的発展については、日本建築学会の『建築歴史・意匠』(2018年)に、杉本まり絵、寺内達也、保川あづみ、武田峻哉らによる研究が掲載されています。西螺延平老街文化館のFacebookページでは、この街の最新の動きについて知ることができます。

(渡邉義孝)

ウェブサイト
西螺延平老街文化館http://louyoung.org.tw/
所在地
雲林県西螺鎮延平路92号