九族文化村 九族文化村

台湾の「多文化」に触れる

赤松美和子撮影

九族文化村は、62ヘクタールに及ぶ広大な敷地に建設された複合レジャー施設です。園内には、先住民族集落エリア、ヨーロピアンガーデン、アミューズメントワールド、ロープウェイの4つの見所があります。1986年の開業当初から目玉となっているのが、台湾の先住民族の文化を取り入れた施設やアトラクションです。先住民族集落エリアでは、各民族の伝統家屋が原寸大で再現されているほか、歌や踊りのパフォーマンス、手工芸や音楽、儀礼のワークショップが提供されています。またエリア内にある九族文化博物館には、織物、彫刻、楽器、船など、先住民族の文物を集めた展示があります。

学びのポイント

台湾の先住民族とは?

17世紀に中国大陸からの漢人移民が来る以前から台湾に居住していた人々が先住民族であり、現在は全人口の約2.4パーセント(約57万人)を占めます。先住民族は、焼畑農耕、狩猟、アニミズム信仰など、独自の生活様式を維持してきましたが、度重なる外来統治の結果、生活のあらゆる面でマジョリティへの同化を余儀なくされてきました。しかし、近年では、民族やコミュニティの伝統文化への誇りを取り戻し、復興する動きが盛んになっており、手工芸、歌、踊り、祭儀の伝承などに積極的に取り組む先住民族の人々が増えています。

赤松美和子撮影

もはや「九族」ではない?

九族文化村が開業した1986年当時、台湾政府が公式に認めていた先住民族は9族でした。しかし2020年9月現在では、公式に認められた先住民族は16族に増えています。これには、1980年代から高まってきた、先住民族による権利回復運動が大きく関係しています。その一つである「名を正す」運動は、植民地統治の過程で定められた民族名ではなく、先住民族の人々の自認するアイデンティティに即した民族名を名乗る権利を求めるものです。九族文化村の名称は、日本統治期から長らく続いた9族の分類に基づいていますが、先住民族をとりまく社会環境の変化にも目を向けてみる必要がありそうです。
 

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】台湾先住民族の呼称が、歴史の中でどのように変化してきた か調べてみましょう。
  2. 【現地体験学習】園内で見ることのできる先住民族の道具、楽器、家屋がどのような素 材で作られているのか調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】園内に再現された先住民族の伝統家屋を見学し、それぞれの民族の伝 統的な生活にどのような共通点や相違点があるのか考えてみましょう。

参考資料

台湾先住民族の歴史については、笠原政治・植野弘子編『暮らしがわかるアジア読本 台湾』(河出書房新社、1995年)の「先住民族に流れた四〇〇年の時間」(pp.20-27)で概要を知ることができます。個別の先住民族の現状については、綾部恒雄監修、末成道男・曽士才編『講座世界の先住民族:ファーストピープルズの現在』(明石書店、2005年)の第5章から第10章に詳しい紹介があります。さらに専門知識を深めたい方は、日本順益台湾原住民研究会編『台湾原住民研究概覧』(風響社、2005年)を読んでみましょう。九族文化村から約30キロ西にある霧社は、ウェイ・ダーション監督の映画『セデック・バレ』のモチーフとなった、セデック族による1930年の抗日蜂起事件の現場でもあります。

(田本はる菜)

ウェブサイト
公式https://www.nine.com.tw/jp/index.aspx 交通部観光局https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003016&id=2099
     
所在地
南投県魚池郷大林村金天巷45号