九曲巷 九曲巷

防風と防犯機能をともに持つ街

蔡蕙頻撮影

鹿港老街に近い「九曲巷」は一本の通りではなく、幾つかの通りを合わせた一帯の愛称です。なかでも、もっとも代表的なのは「金盛巷」という通りです。「曲」いう文字から、ここは「曲がりくねっている街だ」とイメージできるでしょう。港に近い鹿港は、冬には、東北からの猛烈な季節風(東北モンスーン)が吹きます。東北モンスーンは「九降風」とも呼ばれます。九曲巷が曲がりくねったデザインとなった理由は強風から家々を守るためでした。また、曲がりくねった迷路のような街並では泥棒も逃げにくくなるため、防犯の役割もあります。九曲巷は防風と防犯の機能をともに持つ街なのです。

学びのポイント

九曲巷は本当に曲がりくねった個所が九つありますか。

いえいえ。「九」は数字の一つですが、「数量が非常に多い」という意味も表します。「九曲巷」は「曲がりくねった個所が九つある街」ではなく、「曲がりくねった個所が大変多い街」という意味で名付けられました。

九降風とはなんですか?

冬に入ると、東北からの東北モンスーンが台湾に吹き始めます。その風の勢いは、海の近くに住む人々の生活に影響を与えるほどの強さです。九曲巷は強風から家などを守るために曲がりくねったデザインとなりました。ただ、東北モンスーンは必ずしも良くないことばかりではありません。台湾の食材のなかには、この強い風を利用して作られるものもあります。例えば、新竹の米粉(ピーフン)、柿餅などは、九降風の強い風で干して作ったものです。

九曲巷ではほかにも防犯機能が見られますか?

清朝期、台湾の地方の治安はあまり良くありませんでした。そのため民衆は泥棒や強盗から守るために、路地や家屋のデザインにいろいろな工夫をほどこしました。九曲巷の曲がりくねった設計もその一つです。ほかに家屋の両側の窓を小さくしていることや、「銃楼(銃眼を備えた建物)」に、防犯対策の痕跡が見られます。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】「九」は中国語では「数量が非常に多い」という意味も表しますが、日本語の「九」を使った熟語では「九」がそれぞれどんな意味で使われているのか調べてみましょう。
  2. 【現地体験学習】九曲巷の民家は様々な形の窓飾りに特徴があります。それぞれに異なる窓飾りの形を観察してみましょう。
  3. 【現地体験学習】九曲巷を歩き、井戸を探しましょう。井戸の形を観察・記録して、その意味を調べましょう。

参考資料

鹿港については、黄世輝の博士論文『台湾における地域文化の再生・創新としての「社区総体営造」に関する研究 : その展開過程と課題』の第3章「歴史と共存する鹿港の生活文化村づくり」で詳しく紹介しています。

(蔡蕙頻)

ウェブサイト
交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003113&id=C100_438 彰化旅遊資訊網(彰化県政府) http://tourism.chcg.gov.tw/AttractionsContent.aspx?id=113&chk=90d79939-64e3-4fc4-8bbe-17e6d8daf910&l=JP
所在地
彰化県鹿港鎮金盛巷
特記事項
九曲巷の家はほとんど個人宅です。ドアが開いたままでも、敷地のなかにだれもいなくても勝手に入ってはいけません。