生態教育センターの周辺には多くの風車が見られる(郭書瑜氏提供)
彰化縣生態教育中心
彰化県生態教育センター
風車が回り絶滅危惧種が暮らす湿地で環境保護を学ぶ
彰化県生態教育センターは、台湾中西部にある大肚渓河口の湿地帯に隣接しています。この地域は、季節によってクロツラヘラサギやクロツラカモメなどの絶滅危惧種も時折姿を見せるほど動植物が豊かです。シオマネキや水鳥の故郷としても知られ、台湾西部の代表的な湿地帯であり、野生動物保護区もあります。
学びのポイント
彰化県生態教育センター近くの風力発電
秋から冬にかけて、台湾中部の西海岸ではしばしば強いモンスーンが吹きます。冬に中国大陸から吹く風を中国語で「東北季風」と呼びます。彰化地域では安定した強い東北季風が吹くので、臨海部には風力発電施設がたくさん設置されています。冬になると、彰化県生態教育センターをスタートラインとして、海岸沿いに立つたくさんの風車が勢いよく回る光景が見られます。風車の白と海の青とのコントラストが美しく、絶好の撮影スポットにもなっています。
環境保護と産業開発の持続可能なバランスを求めて
彰化沿海部は、東北季風が強く、海に面しているため、農業には向かないとされてきました。その環境から、台湾が経済発展を遂げた1980年代、彰化沿海部は工業団地として選ばれ、台湾初の埋め立て地工業区となりました。今でも台湾で面積が最も広い工業団地です。一方で、工業を発展させながら彰化に特有の湿地環境をどうやって保護するかが重要な課題となりました。工業団地に近接する彰化県生態教育センターは、環境保護を重要な責務としています。そのひとつとして、絶滅危惧種のシロイルカをモチーフとした展示館では、イルカを中心とした台湾の海洋生物の生態や近隣する湿地に暮らす生物の生態を紹介する展示や活動も行っています。
湿地帯の生態ジオラマ展示(山﨑直也氏提供)
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】日本の学校の歴史教科書、日本で出版された台湾についての入門書・概説書などで、日清戦争、下関条約による台湾・澎湖島の清朝から日本への割譲、台湾に上陸した日本軍と現地住民との間の各地での激しい戦闘、そして樺山資紀台湾総督による1895年11月の台湾平定宣言に至る一連の過程がどのように語られているか調べてみましょう。
- 【現地学習】展示を見て、彰化沿海部に何種類のイルカがいるかを調べてみましょう。
- 【事後学習】環境保護と産業開発のバランスはどうやって保てるかを考えてみましょう。
参考資料
専門的ではありますが、台湾の湿地保護政策については、蕭閎偉、城所哲夫、瀬田 史彦「台湾における『湿地保全法』関連制度に関する研究」(『日本建築学会計画系論文集』第81巻730号、2016年)を読んでみましょう。日本の「重要湿地」については、環境省のウェブサイトを見てみましょう。
- ウェブサイト
- 彰化旅游資訊網(彰化県政府城市暨観光発展処) https://tourism.chcg.gov.tw/AttractionsContent.aspx?id=415&chk=a24f8533-2d75-49b2-9e5c-2937a66d0b38
- 所在地
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彰化県伸港郷慶安路800号