二林仁和宮(郭書瑜氏提供)
二林仁和宮
二林仁和宮
彰化二林の人々とともに過去をあゆみ、未来へ向かう信仰の中心地
彰化二林地区の重要な信仰の中心地である仁和宮には、地域の多くの住民が参拝や祈願に訪れます。媽祖を祀る仁和宮は、文献資料が散逸したため、正確な築造時期はわからないものの、1790年代に建てられたとされています。仁和宮は長年にわたって何度も改築され、そのたびに石碑に碑文が刻まれたため、改築の年代は碑文から特定できます。碑文からは、彰化二林地区の異なる風貌が時代の流れのなかに見られ、仁和宮はこの地区の開拓史をうかがえる重要な場所といえます。
学びのポイント
開拓時代の痕跡:媽祖を祀る仁和宮
二林仁和宮は、天上聖母を祀っています。天上聖母は海をつかさどる女神であり、台湾では一般に媽祖と呼ばれます。清朝時代に中国大陸から台湾に移住した人たちは航海の無事を媽祖に祈り、安全に渡れたのは媽祖が見守ってくれたからだと考えました。そのため、媽祖は台湾社会で広く信仰されています。二林仁和宮には、媽祖のほか、観世音菩薩、虎爺公、註生娘娘、文昌帝君、土地公、十八羅漢などの神様も祀られています。それぞれの神様は地域の安全、学問、交通安全、無病息災など異なる役割を担っており、二林仁和宮が、地域の信仰の中心として、人々の日常生活全般と密接に関わっていることがわかります。
抵抗の歴史を見守る場:二林農民抗日事件とのゆかり
1923年、二林地区で二林農民抗日事件が発生しました。これは、植民地政府に支えられた製糖会社がサトウキビ農民を搾取することに反発した事件です。抵抗運動を進めるため、農民と台湾人知識人、医師などが協力し合い、二林蔗農組合を組織し、二林仁和宮前の広場で、自分たちの権利を求める農民大会が開かれました。このように、二林仁和宮は台湾における農民の抵抗の苦難の歴史を示す場でもあります。
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】仁和宮が祀る媽祖とは何かを調べてみましょう。
- 【現地学習】改築の時期を記した石碑の中で、一番古いものを探してみましょう。
参考資料
二林仁和宮の祭祀儀式の進行は公式Facebookで見られます。ここで祀られる「媽祖」については、三尾裕子「海の女神『媽祖』」(『Ocean Newsletter』第175号、2007年)がわかりやすい紹介です。やや専門的な論考ですが、「二林農民抗日事件」については、都留俊太郎「二林蔗農事件の背景の再検討 : 地域史からみた日本統治期台湾農民運動」(『歴史学研究』歴史学研究会編、979号、2019年)を読んでみましょう。
- ウェブサイト
- 公式Facebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100064694076697
- 彰化旅游資訊網(彰化県政府城市暨観光発展処) https://tourism.chcg.gov.tw/AttractionsContent.aspx?id=109&chk=fc03edd4-cb17-4ad8-99ca-7ffb4fc50f00
- 所在地
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彰化県二林鎮中正路58号