國府俊一郎氏提供

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芳苑海牛採蚵生態旅遊

彰化芳苑「海牛」のカキ採りエコツアー

干潟の自然と伝統漁業、カキ養殖を体験しよう

彰化から台南にかけての沿岸部には、遠浅の干潟が広がっています。彰化北部の鹿港から南の芳苑郷までの沿岸には広大なマングローブの原生林が広がっています。芳苑湿地紅樹林海空歩道は、満潮時にマングローブの原生林が海に浸かり、まるで海の上を歩いているようです。満潮時と干潮時との風景の違いをぜひ楽しんでください。彰化では、遠浅の干潟を用いたカキなどの養殖業が昔から盛んで、養殖したカキを牛で運搬する伝統的な漁業法が行われてきました。現在は、ほとんど牛車は使われませんが、干潮時には干潟で採れたてのカキの炭火焼きを味わったり、牛車に乗ったりできます。

学びのポイント

芳苑湿地のマングローブの原生林と干潟の生き物

彰化南部の海沿いにある芳苑湿地は、二林渓という川が海に注ぎ込む河口に位置します。彰化沿岸は遠浅で、二林渓から流れ込む黒い土と海の砂とが混じり合い「黒い大地」と呼ばれる広大な干潟を形成しています。干潟と陸地の境目にはマングローブ林が広がり、その中に「海空歩道」がつくられています。干潮時には海水が引いて荒涼とした景色を見せる一方で、満潮時にはマングローブ林の根本がすっかり海につかり、歩道は海に浮かぶかのように見えます。肥沃な黒い大地には貝や甲殻類が豊富で、それらを捕食するためにやってくるシラサギなどの鳥類の観察もできます。

台湾の牡蠣養殖業

陸地の養分がたくさん流れ込む「黒い大地」では、微細なプランクトンが豊富に生息しています。カキの幼生はこうしたプランクトンを食べて育つので、河口付近は特にその養殖に適しています。また、彰化の遠浅の干潟は杭を打ちやすく、深さ約1mの浅瀬に2本の杭を立てて、そこに竹を水平に縛り付け、カキの串を吊るす伝統的な「平掛式」での養殖が行われています。台湾のカキ養殖は、最盛期の1980年代には養殖量が2万8000トンに達するほどでした。しかし、沿岸の工業化に伴う海洋汚染のほか、温暖化による海面温度の上昇や台風の影響の甚大化によって、養殖業者は難しい対応を迫られています。

観光漁業「海牛採蚵」

技術が進歩すれば漁業のやり方も変わります。干潟での移動手段は牛から自動車へ、カキの養殖も「平掛式」から筏にカキを吊るす「浮筏式」へと移り変わり、このままでは伝統的な漁業の風景が消えてしまいます。そこで芳苑では、牛を使った伝統的な農業の形を残し、過疎化が進む地域を体験型の観光漁業で興そうとしています。例えば干潟で牛車に乗る体験、カキやハマグリなどの収獲体験、干潟の生き物に関する現地学習ができるほか、収獲したてのカキの炭火焼きを味わえるなど、多種多様な楽しみ方ができます。また、付近には普天宮という大きな廟もあり、毎年5月に国際海牛文化祭が開催されています。

カキの炭火焼き(國府俊一郎氏提供)

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】カキの養殖の歴史と技術の推移について、インターネットや書籍で調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】牛車に乗って干潟まで移動し、伝統漁業を体験し、干潟の生物に関する知識を吸収しましょう。
  • 【事後学習】沖縄など日本における観光漁業の取り組みについて調べてみましょう。
参考資料
カキの養殖(広島)についての詳しい説明は、こちらこちらのウェブサイトをご覧ください。国土交通省(日本)による観光漁業の取り組み事例資料も参考になります。

(國府俊一郎)

ウェブサイト
彰化旅游資訊網(彰化県政府城市暨観光発展処) https://tourism.chcg.gov.tw/AttractionsContent.aspx?id=352&chk=5e764cb5-f3a8-4c06-a1e1-0c36357361d9&l=JP&fbclid=IwY2xjawGnhHBleHRuA2FlbQIxMAABHVlBeEVbNuVfaPCuf7aUHtw5rIY4Umtr4J55GZrj3Lp824IAlEsuNd_iiA_aem_ZKAYfBUPXhT0J5G_HxuLUQ
所在地
彰化県芳苑郷芳漢路芳二段161巷100号

特記事項
漁業経験、体験学習は事前予約が必要。いくつかの業者が下記に紹介されている。
https://tourism.chcg.gov.tw/st/index.aspx?id=5308402080902426553