畑村学提供

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三義木雕博物館

三義木雕博物館

木彫工芸の郷(さと)にある木彫りをテーマにした台湾唯一の公立博物館

三義木雕博物館は、木彫をテーマにした台湾唯一の公立博物館として1995年に苗栗県三義郷に開館しました。木彫作品の収集と保存、展示、普及を目的として、各国の伝統的な木彫の作品や、三義を中心とした台湾の木彫芸術作品、家具等が数多く展示されています。
三義郷は、苗栗県南端の山間部に位置する小さな町で、多くの人々が木彫工芸に関する仕事に従事しています。ただ、古くから木彫りの伝統があったわけではありません。この辺りに楠(クスノキ)が多かったことで、日本統治時代には樟脳油や建材の加工が盛んに行われました。そうした産業が廃れた後、伐採後の切り株や不要となった木材を使った装飾品、神像、家具の制作が始まり、今では多くの木彫作家がここ三義で創作活動を行っています。

学びのポイント

日用の家具から芸術作品まで様々な木彫作品を展示

博物館は、木材と石材を組み合わせてつくられた2つの建物で構成され、2階でつながっています。地下1階から地上4階までの各フロアには、木彫作品や木彫に関わるたくさんの品がテーマ別に展示され、木彫作品の過去から現代に至るまでの歴史が学べます。

勝興駅(畑村学提供)

フロアごとにテーマの異なる展示作品

正面玄関を入った1階の展示室では、木彫で使われる材木や、世界各地の木製の面、タオ族の木製の舟なども見ることができます。2階は地元・三義の木彫を紹介するフロアで、神像や家具、工芸品などのほか、三義で創作活動を行う現代アーティストの作品や木彫制作で使用する鑿やノコギリ等が展示されています。3・4階は台湾の現代木彫アートのフロア、地下1階の特設室では様々な特別展示が行われています。博物館でありながら木彫アート作品の美術館としての要素も備えています。

勝興駅のすぐ近くには、日本統治時代の駅長宿舎が残る。(畑村学提供)

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】日本の木彫産業について調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】過去から現代に至るまでの展示を見学し、木彫りでどのようなものが制作されてきたか、その変化を確認しましょう。
参考資料
台湾の木彫芸術に関して、美術史的観点からその発展の過程を紹介した頼永興、上原 一明「台湾の木彫芸術について」(『山口大学教育学部研究論叢(第3部)』巻62、2013年)では、三義の木彫産業について短いながら一章を設けて紹介しています。

(畑村学)

ウェブサイト
公式 https://wood.mlc.gov.tw/

(中国語・英語)

交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003110&id=2196
所在地
苗栗県三義郷広盛村広声新城88号