台湾客家文化館(畑村学提供)

エリア
テーマ

臺灣客家文化館

台湾客家文化館

台湾の客家文化がまるごと学べる自然と融合した巨大博物館

2012年5月に苗栗県銅鑼郷にオープンした巨大な文化施設で、台湾客家文化を、歴史、産業、観光などの面から総合的に学ぶことができます。建物の外観は非常に近代的ですが、客家文化を紹介する施設にふさわしく「原風景の再生」をコンセプトとして既存の地形に合わせて設計され、環境にも十分に配慮されています。
施設内の展示エリアには、台湾客家の歴史や文化がわかる数多くの展示があるほか、ビデオシアターや会議場、客家の伝統文化を体験できる設備もあります。 中華民国行政院客家委員会が運営に関わる国の公的施設であり、屏東県にも同じく六堆客家文化園区があります。

学びのポイント

客家に関する豊富な展示と体験ゾーン

常設館では、客家の起源とその世界的な広がり、伝統的な生活スタイルや建築様式、食文化、文学や音楽などの芸術面での特徴、さらには台湾社会での客家の活動と役割について、多くの展示によって紹介されています。
映像資料やテクノロジーを使った体験ゾーンも豊富で、モニターに映し出された客家の伝統的な衣装から好きなものを選んでモニター上で着てみることもできます。 特設室では客家の伝統的な結婚式や服飾等の特設展が随時開催されており、タイミングが合えばそれらのイベントに参加して、客家文化をさらに詳しく学ぶことができます。

台湾客家文化館の中の様子(畑村学)

台湾客家文化館の中の様子(畑村学)

客家の世界観を表現した自然と融合した近代的な建築物

小高い自然の丘の上にある巨大な半円形の建物は、客家の人々が平地を避けて山間部に居を構え、自然に囲まれた暮らしをしてきたことを象徴しています。建物から外に出て丘の中腹にある好客公園まで散歩道を歩けば季節の草花が観賞できます。なかでも晩春から初夏にかけては、客家が多い地域を代表する油桐花(アブラギリバナ)が、白い花を咲かせる様子が楽しめます。油桐花の花は、花びら一枚ずつではなく付け根からまるごと落ち、その落ちる姿や地面に散らばった様子の美しさから「五月の雪」とも言われます。

畑村学提供

好客公園(畑村学提供)

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】客家とはどのような人たちか、インターネットや本で調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】客家の伝統的な衣・食・住について、展示や映像資料からその特徴をまとめてみましょう。
  • 【事後学習】客家の人々の生活や自然観で、自分の生活や自然観と共通している点、異なっている点について考えてみましょう。
参考資料
台湾の客家については、田上智宜「第25章 客家-少数派漢人の言語と伝統文化」『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)を読んでみましょう。田上智宜「「客人」から客家へ―エスニック・アイデンティティーの形成と変容―」(『日本台湾学会報』第9号、2007年)を読むとさらに詳しく知ることができます。鍾理和、李喬、彭小妍、呉錦発他著、松浦恆雄監訳『客家の女たち』(国書刊行会、2002)には、客家の女たちを主人公とする9編の短編小説が所収されています。客家全体については、高木桂蔵『客家(ハッカ):中国の内なる異邦人』(講談社現代新書、1991年)が参考になるでしょう。

(畑村学)

ウェブサイト
公式https://thcdc.hakka.gov.tw/1240/

(中国語・英語)

所在地
苗栗県銅鑼郷九湖村銅科南路6号

特記事項
苗栗高鉄駅から歩いて5分のところに、客家の独特な住居である円楼を再現した苗栗客家円楼があります。地下一階、地上三階の構造で、なかにステージや展示スペース、体験研修室、客家関連のグッズを販売するショップ等があります。苗栗を訪れたら、ここにも立ち寄ってみましょう。