胎中千鶴

あなたとともに知る台湾

近現代の歴史と社会

(清水書院、2019年)

TAIWAN bunko REVIEW

ナビゲーター

赤松美和子

五つ星の台湾入門書

読んだ本が好きになり、誰かに薦めたくなったとき、人はどう行動するだろう? おススメ度には五段階あると思う。★:SNSでのその本の紹介記事に「いいね」する。★★:SNSでのその本の紹介記事をシェアする。★★★:自分のSNSにその本の紹介を書く。★★★★:Amazonレビュー(書評)を書く。★★★★★:その本を友だちにプレゼントする。実は、私はこれまで『あなたとともに知る台湾』を20冊以上自費購入し、これから台湾に留学、駐在する、あるいは台湾に興味ある学生や友人にプレゼントしてきた。本書は正真正銘の★★★★★台湾入門書である!!

「友だち」関係というフェアさ

日本と台湾の関係をどうとらえればよいのか。私の場合、台湾を紹介する本や記事を読む際に、警戒センサーが働く言葉が二つある。一つは「家族」、もう一つは、「兄弟」だ。なんとなく美化する傲慢さに、わかったつもりの危うき幻想に、そして、どっちが親で子なの? どっちが兄で弟なの?と、その不平等性にモヤモヤする。だが本書はずばり、日台を「友だち」というフェアな関係としてとらえている。「はじめに」から一部抜粋しよう。「楽しいことは分かち合い、つらいときは支え合う関係を『友だち』とするならば、現在の台湾社会と日本社会は、まぎれもなく『友だち』です。では、その友だちのことをもっと深く理解するためにはどうすればいいのでしょうか。友だちが今までどのように生きてきたのかという『歴史』を知り、友だちがこれからどんな道に進んでいきたいのかという『未来』について一緒に考えてみることも、相手を知るために必要だと私は思っています」。

台湾をもっと知りたくなる最初の一冊でありながら、魔本

本書は、台湾についての知識をただ教えるのではなく、①プロフィール、②日本統治期、③戦後の台湾社会、④現代の台湾社会の四つの方向から、「友だち」としての台湾を紹介することで、台湾に向き合い、知りたいという好奇心を刺激してくれる一冊だ。たとえば①プロフィールの項目のタイトルは、「車内アナウンスは4種類」「日本より進んでいる女性の社会進出」「スマホのなかの『Made in Taiwan』」。読者は、本書を通して台湾の基本的な知識をいつの間にか身に着けつつ、さらなる好奇心を刺激され、台湾に行きたくなってしまう魔法にかかる。台湾入門者には最初に読むべき一冊であり、台湾中級者には植民地、皇民化、二二八事件、白色テロなど難しい歴史を易しい言葉で深く解説してくれる経典であり、台湾上級者には台湾との向き合い方を絶妙に調整してくれる魔本である。