六堆の名前の由来がわかる展示(郭書瑜撮影)

エリア
テーマ

六堆客家文化園區

六堆客家文化園区

台湾南部の客家文化と歴史を深く学べるテーマパーク

六堆客家文化園区は、約20ヘクタールの敷地に広がる、客家文化のテーマパークとしては台湾最大の施設です。台湾の主要なエスニック・グループの一つである客家の文化、歴史、音楽、文学などを、体験しながら学ぶことができます。園内には、客家文化の展示館、たばこ葉農家(菸楼)や水田と米農家の展示、客家の宗教信仰エリア(開基伯公)、マルチメディアホール、キャンピング場など、多様なテーマのエリアがあります。昔の農村における客家の人々の生活と文化を実体験できる「暮らしの博物館」です。

学びのポイント

「六堆」とは?

「六堆」とは特定の行政区域ではなく、屏東平原を中心とした客家文化圏をさします。清朝統治期、中国大陸から台湾に渡ってきた客家の人々は、自分たちの集落を守るために自衛団を組織しました。客家の言語、文化、伝統を共有する集落は、地域ごとに、「前堆」「後堆」「左堆」「右堆」「中堆」「先鋒堆」という6つの「堆」に分かれており、その全体を「六堆」と呼びます。同じ来歴の人々が、自分たちの暮らしの場所を守るためにできた六堆は、軍事的機能を持っていました。しかし、日本の統治下では、六堆は徐々に自衛団としての機能を失っていきました。

見て、触れて、知る博物館

六堆客家文化園区には、六堆の地理、歴史、文化を紹介する常設展示があります。ここでは動画やARなどの技術によって、六堆の地形や水資源の利用、長い歴史の中で集落がどのように変化してきたかを詳しく学ぶことができます。また、日常生活で使われていた工芸品や音楽、文学作品なども展示されています。常設展の奥に進むと、客家の伝統的家屋の実物大レプリカがあり、実際に客家の人々の家に入ったように、当時の暮らしぶりを実感できます。ただ見るだけでなく、ARで体験することもできます。

客家の家屋の内部がわかる展示(洪郁如提供)


暮らしの博物館として

六堆客家文化園区には、さまざまな体験コースがあります。客家の人々の生活で使われる植物に触れる体験や、客家の伝統的な信仰である「開基伯公」を祀る体験のほか、センター内の自然環境から客家の人々の暮らしぶりを学ぶ体験や、客家の伝統工芸品「紙傘」つくる体験もできます。これらの体験を通して、客家の人々がどのような自然環境の中で、独自の文化や歴史、生活様式を築き上げてきたかを、深く学ぶことができます。

広大な園内には客家の食文化に欠かせない米の田んぼも(郭書瑜撮影)


さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】六堆客家文化園区の紹介動画を観て、「六堆客家」について学びましょう。
  • 【現地学習】展示の中で、米を使った客家料理を探してみましょう。
参考資料
台湾の客家については、田上智宜「第29章 客家人-少数派漢人の言語と伝統文化」赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための72章【第2版】』(明石書店、2022年)、田上智宜「『客人』から客家へ--エスニック・アイデンティティーの形成と変容」(『日本台湾学会報』第九号、155-176頁、2007年)を読んでみましょう。鍾理和、李喬、彭小妍、呉錦発他著、松浦恆雄監訳『客家の女たち』(国書刊行会、2002年)は、客家の女性を描いた短編を集めた小説集です。

(郭書瑜)

ウェブサイト
公式 https://thcdc.hakka.gov.tw/8362/

(中国語・英語)

屏東県政府 https://www.i-pingtung.com/pingtung/view/%E5%85%AD%E5%A0%86%E5%AE%A2%E5%AE%B6%E6%96%87%E5%8C%96%E5%9C%92%E5%8D%80

(中国語)

所在地
屏東縣內埔建興村信義路588号

特記事項
定休日:火