工場の入口には大きな虎のバスも(郭書瑜氏提供)

エリア
テーマ

宜蘭虎牌米粉觀光那個時代觀光工廠

タイガーブランドビーフン宜蘭観光工場

1970年代の台湾を再現したビーフン観光工場

1970年代に発売され、50年以上の歴史を持つタイガーブランドビーフン(⻁牌米粉)は、台湾の人々の思い出の味と言えるでしょう。タイガーブランドビーフン宜蘭観光工場は、そのタイガーブランドビーフンが誕生した時代の雰囲気をそのままに再現した観光工場です。館内では、タイガーブランドビーフンの試食ができるほか、ビーフンの料理教室も開かれています。

学びのポイント

伝統的なビーフンの作り方

ビーフンは、米で作った細長い麺で、中国語では「米粉」と書きます。米の生産が盛んな台湾、中国南部、東南アジアでよく見られる食材です。伝統的なビーフンの作り方は次の通りです。まず米を挽いた粉を大釜に入れてかき混ぜながら蒸します。塊に成形して、機械で細長いひも状に整えます。その後、セイロで火が通るまで蒸し、最後に自然の風で乾燥させます。タイガーブランドビーフン宜蘭観光工場では、この伝統的なビーフンの作り方が詳しく紹介されており、自分でビーフンを作る体験もできます。

伝統的なビーフンの製造工程と器具(山﨑直也氏提供)

タイガーブランドビーフンの国際化と地域との連携

1970年に創立されたタイガーブランドビーフンは、台湾で最も古いビーフンメーカーで、その製品は1980年代には台湾を代表するブランドとなりました。台湾で初めて製造を自動化したタイガーブランドビーフンは、日本をはじめ世界各地で販売されています。1970〜80年代のタイガーブランドビーフンの発展は、台湾経済の飛躍的な成長を象徴するものでもあります。タイガーブランドビーフンは、販売マーケットの国際化に加え、2007年の宜蘭工場設置を契機に、地元農業組合との連携にも取り組み始めました。今では、温泉ビーフンや枝豆ビーフンなど、地元の食材を生かした商品を生産しています。

“あの頃”の街並みを再現した館内ではビーフンの試食もできる(郭書瑜氏提供)

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】アジア各地で食べられている米粉の麺(ライスヌードル)について調べてみよう。
  • 【事前学習】日本のビーフンの歴史を調べてみよう。
  • 【現地学習】伝統的なビーフンの製作工程と使用されている器具を見てみましょう。
参考資料
SNET台湾制作の『臺灣書旅―台湾の食文化を知るためのブックガイド』(台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター、2024年)は、日本で出版された台湾の食文化の書籍を紹介するとともに、台湾研究者らの「食」に関するエッセイを掲載しています。詩人で台湾の食文化に関する著作も多い焦桐の『味の台湾』(川浩二訳、みすず書房、2021年)では、汁ビーフン(米粉湯)が味のある文章で語られています。口尾麻美『まだ知らない 台湾ローカル 旅とレシピ』(グラフィック社、2020年)にもビーフンの紹介があります。日本には、ケンミン食品というビーフンのメーカーがあり、「『ビーフン』の消費拡大に挑む『ケンミン』3代目社長の挑戦 『グルテンフリー』で世界進出も」というインタビューで、日本のビーフンと台湾との興味深いつながりを知ることができます。

(郭書瑜)

ウェブサイト
公式 https://chccp.e-land.gov.tw/(中国語・英語)
所在地
宜蘭県五結郷利興三路5号