(清水美里氏提供)

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隆田文化資產教育園區

隆田cha cha文化資産教育パーク

最新技術で台南の産業史を体感しながら学べる場

産業遺跡と科学技術、芸術、自然の融合を試みた野心的な教育施設です。かつてここには、嘉南大圳(かなんたいしゅう)の水源である烏山頭(うざんとう)ダムの工事資材を運んだ「水鉄」、七股塩田の塩を運んだ「塩鉄」、近隣で収穫されたサトウキビと生産された砂糖を運んだ「糖鉄」、そして高雄港までの輸送経路である台湾鉄道の「台鉄」という4種の鉄道路線「四鉄」がありました。隆田cha chaはこの「四鉄」の軌道や倉庫群などの遺構をリノベーションした空間で、過去の芸術作品と現代のデジタル技術を融合した展示や歴史を体験できるゲームなどもあり、楽しみながら体感的に地域の産業史を学べるスポットです。

学びのポイント

4本の産業鉄道

「四鉄」は20世紀前半の台南地域の特産品と結びついています。貨物輸送の中核を担った「台鉄」はもちろん、台南産の塩と砂糖を運んだ「塩鉄」と「糖鉄」、烏山頭ダムの建設資材を運搬した「水鉄」も産業と深いかかわりを持っていました。烏山頭ダムの水は嘉南大圳の水源の一つです。嘉南大圳は農業用水の供給を目的に建設され、砂糖の原料となるサトウキビの畑や稲作地、そのほか多様な熱帯の農産物の耕作地に農業用水を送っています。現在、「塩鉄」、「糖鉄」、「水鉄」は廃線となり、一部にその痕跡がうかがえるのみですが、今も現役の「台鉄」とどのように連結されていたのか、施設内を歩きながら想像してみてはいかがでしょうか。

伊東哲パーク

倉庫の一つには伊東哲パークと題された没入型シアターがあります。画家の伊東哲(いとうさとし)は烏山頭ダム工事の現場監督であった八田與一(はったよいち)と従兄弟どうしで、烏山頭に滞在していくつかの作品を残しました。その一つ「蝋描壁掛嘉南大圳工事模様」はダム竣工の記念品として製作されたロウケツ染のタペストリーで、ダムの工事風景や建設関係者の宿舎が、四辺には用水路が描かれています。このタペストリーの図をプロジェクションマッピングにより倉庫内部に投影し、さまざまなアニメーションを加えたのが伊東哲パークです。近代遺構の中に1930年の青年画家の作品と現代のデジタル技術を融合した、遊び心あふれる空間として子供たちに親しまれています。

伊東哲パーク(清水美里氏提供)

歴史をアミューズメントに

施設内には歴史を学ぶための様々なゲームがあります。一番人気は工事現場を再現した巨大パチンコだそうです。写真のファームランド・ポップスコッチゲームは、嘉南大圳の灌漑区域に一律に導入された「三年輪作」という灌漑システムをゲームにしたものなのですが、クリアするのが非常に困難な難易度の高いゲームです。三年輪作とは水量の節約や地力の維持のため、地図上で3色に色分けされたエリアのそれぞれに指定された作物を植えるもので、栽培場所を毎年変え、3年で一巡するためこう呼ばれます。こう説明すると簡単そうですが、実際には各エリアの整備が難しく、公平に行うようコントロールすることも困難な制度でした。実際の輪作が困難であることを考えると、ゲームが難しいのも納得できます。

ファームランド・ポップスコッチゲーム(清水美里氏提供)

さらに学びを深めよう
  • 1.【現地体験学習】展望台から周囲の風景を眺めてみましょう。台南の産業史と鉄道との関係を実際の地形を見ながら考察してみてください。
  • 2.【現地体験学習】施設内には現役の用水路があります。探し出して、どんな形をしているか、なぜその形なのか、答えを見つけてください。
  • 3.【事前学習】【事後学習】伊東哲が台湾に渡航するきっかけとなった白蓮事件について調べてみましょう。伊東は柳原白蓮という、女性の自由恋愛を実践した人物の肖像画を描き、売名行為だと画壇から批判を受けました。白蓮の現代的な生き方は一部の人には支持されたものの、当時の社会には受け入れられず、伊東も東京の画壇を追われ、一時期、従兄の八田與一のいる台南に活動の拠点を移したのでした。NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」で仲間由紀恵さんが演じた葉山蓮子は白蓮をモデルにしています。
参考資料
参考書籍には「蝋描壁掛嘉南大圳工事模様」を題材にした絵本、謝金魚『1930・台湾烏山頭~水がめぐる平野の物語』(北國新聞社、2022)があります。さらに専門的知識を深めたい方は、清水美里『帝国日本の「開発」と植民地台湾 台湾の嘉南大圳と日月潭発電所』(有志舎、2015)を読んでみましょう。

(清水美里)

ウェブサイト
公式ウェブサイト  https://chacha.tainan.gov.tw/(中・英・日)
所在地
台南市官田区新生街43号
休館:火曜