台湾死刑廃止推進連盟提供
台湾死刑廃止推進連盟提供
台灣廢除死刑推動聯盟
台湾死刑廃止推進連盟
止めるべきなのは命ではなく、罪なのだ
死刑が執行された後に冤罪であると判明する事例が絶えません。そこで、「そもそも死刑がなければ」という思いを抱いている人々が、抜本的な改革を目指して2003年に台湾死刑廃止推進連盟を結成しました。連盟は、冤罪判決を受けたと思われる死刑囚やその家族に、無罪を勝ち取る日まで寄り添い、他方で、犯罪被害者とその家族の声にも耳を傾けています。台湾社会では、死刑制度の賛否をめぐって激しく意見が対立しています。死刑がまだ根強く支持されている現状に対して、連盟は研究を進めながら、法曹界、教育界、さらには若者など様々な人々と話し合い続けてきました。対立を乗り越えるために、地道に対話を積み重ねています。
学びのポイント
死刑囚と被害者の声を聞く
重大犯罪が起きると、事件の凶悪性ばかりがセンセーショナルに取り上げられ、それに関わる人々への関心は希薄になりがちです。しかし、生まれつきの犯罪者は一人もいません。冤罪はもちろん正されなければなりませんが、重大犯罪事案についても、なぜ加害者は犯罪に手を染めてしまったのか、その理由を明らかにすることが重要です。障害、格差、人間関係のトラブルなど重大犯罪が生まれた背景を解明することによって、悲劇の再発防止につながります。一方で、被害者とその家族の思いにも耳を傾けなければなりません。被害者や被害者の家族の中には、加害者を死刑などの重い罪に処すことより、より良い社会を作り出すことを切実に望んでいる人々もいます。連盟はインタビュー、出版、トークイベントなどの取り組みによって、死刑の背景に隠されている様々な声を掘り起こし、犯罪をめぐる議論を深めようとしています。
死刑問題をめぐるコミュニケーション
台湾社会において死刑はまだ根強く支持されています。連盟は死刑廃止は生命権保障の一環であり、多数決によって否定できるものではないと主張しています。しかし、現実には台湾で死刑廃止を実現するために、その支持を拡大することは不可欠です。そのため、連盟は弁護士や裁判官の研修に講師を派遣して、実務家と意見交換をしています。また、教員や保護者向けのワークショップを通じて、教育現場での議論を推進しています。その他、映画祭、読書会、講演会および市民会議など、一般人向けのイベントを主催して、積極的に市民とのコミュニケーションを図っています。少数派でも多数派を説得するチャンスがあるというのは民主主義の基本ですし、連盟の信念でもあります。
台湾死刑廃止推進連盟提供
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】【事後学習】国際NGOフリーダムハウスによる民主主義指標の上位国の中で、死刑制度を維持しているのはアメリカ、日本と台湾だけと言われています。日本の新聞記事と世論調査で死刑をめぐる議論を調べて、台湾との共通点と相違点を考えてみましょう。
- 【現地体験学習】死刑廃止を取り組んでいる弁護士から、台湾における死刑廃止運動の歴史と現場の経験を聞いて、自分の意見と感想をまとめましょう。(連盟提供、時間応相談)
- 【現地体験学習】刑事犯罪に関わる当事者(加害者、被害者とその家族)の物語を聞いて、本当に犯罪を減らすためにはどのような対策が必要なのかを考えてみましょう。(連盟提供、時間応相談)
参考資料
台湾の死刑廃止論考については、『東アジアの死刑廃止論考』(鈴木敬夫編訳、成文堂、2007)に収録された台湾に関する論文を読んでみましょう。
日本の死刑廃止運動の概要と論点については、日本弁護士連合会のホームページ「死刑制度の問題」が参考になります。
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