大東和重撮影

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恒春古城

恒春古城

城壁・城門から台湾の都市を知る

南北に細長い台湾の、いちばん南にある町が恒春です。かつて台湾や中国の町は、城壁に囲まれていました。近代化の過程で邪魔になった城壁は、取り壊されて道路などになり、城門も部分的にしか残っていません。ですが恒春には、19世紀に建てられた城門や城壁が比較的良好な状態で保存されており、町歩きをしながら、昔の都市の姿を想像することができます。恒春はまた、大ヒットした映画の舞台でもあり、映画ロケの聖地巡りをしても楽しい町です。

学びのポイント

城壁のある小さな町

恒春は小さな町なので、歩いて回ることができます。再開発が小規模だったため、「恒春古城」と呼ばれるように、昔の姿を比較的よく残しています。中国や台湾の昔の都市は、こんな感じだったのかと、イメージをふくらませながらの散策が楽しめます。東西南北の門が残っていますが、まず南門から出発してはどうでしょうか。南門一帯が恒春の中心部です。老舗のレストランや甘味屋があるかわいらしい通りを北へ向かって歩くと、西門周辺では城壁の上を歩くこともできます。こぢんまりとして古い情緒があり、いとおしさを感じずにいられない町です。

大東和重撮影

映画の舞台

台湾最南端の小都市、恒春が台湾で一躍知られるようになったきっかけは、2008年に公開された台湾映画『海角七号 君想う、国境の南』(魏徳聖監督)の大ヒットでした。戦前における、日本人教師と台湾人生徒との悲恋に、現代の、ミュージシャンになる夢に破れた台湾人男性と日本人女性の恋愛をオーバーラップさせたこの映画は、恒春を舞台としています。懐かしさを感じさせる町並み、古びた城壁や城門、 パステルカラーの 建物などが、映画のストーリーとマッチし、恒春は効果的な舞台となりました。現在もその映画が撮られた街角を探して訪れる人が絶えません。

南部のリゾート・国家公園へ

台湾の人たちが恒春と聞いて思い浮かべるのは、南部のリゾートというイメージです。恒春の町からさらに南下すると、墾丁国家公園があります。日本には「国立公園」「国定公園」という制度があって、自然環境を保護しつつ、国民が景勝地を利用できるようになっています。これに相当する、台湾の代表的な「国家公園」の一つが、恒春のすぐ南、東シナ海と太平洋に面して広がる墾丁国家公園です。美しいビーチがあり、観光シーズンには全島から観光客が訪れます。白亜の灯台がそびえる鵝鑾鼻など、数々の景勝地がある墾丁は、亜熱帯から熱帯性気候の台湾の美しい自然を体験するのに絶好の場所です。

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】 台湾の地図を見て、台北から恒春までの距離がどのくらいで、あなたの住む街を基点とすると同じぐらいの距離にある地域はどこなのか、調べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】 魏徳聖監督『海角七号 君想う、国境の南』など台湾の映画を見て、映画を通して台湾を知りましょう。
  • 【現地体験学習】恒春の南、墾丁のビーチのすぐ目の前に、原子力発電所があります。台湾の原子力発電所の現状について調べ、日本と比較してみましょう。
参考資料
恒春のように、かつての台湾の町は、城壁に囲まれていました。台湾の町がどのように造られたのかについては、郭中端・堀込憲二『中国人の街づくり』(相模書房、1980年)がとても参考になります(タイトルは「中国人の」となっていますが、台湾について書かれた本です)。また、台湾の各都市については、後藤治監修、王惠君・二村悟著『図説 台湾都市物語』(河出書房新社、2010年)があります。

(大東和重)

ウェブサイト
交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003122&id=2112
所在地
屏東県恒春鎮